リスクとコストを抑えてパン屋を開くには「フランチャイズ」がおすすめ
独立開業への夢を叶えたい人にとって、パン屋は魅力的な選択肢の一つです。しかし、パン作りや経営の経験がない方にとっては、リスクとコストの高さが大きな障壁となります。そこで、リスクとコストを抑えながらパン屋を開業したい人におすすめなのが「フランチャイズ」です。
フランチャイズなら本部のブランド力やノウハウを活用できるため、個人で開業するよりも成功率が高いといわれています。また、仕入れや仕込みが楽になるため、パン作りに集中できるというメリットもあります。さらに、働き方や予算に合う業態を選べるため、自分らしいパン屋を経営できるという点も魅力です。
パン屋の市場動向
朝食をパンで済ませる人が増えていることや、ランチやディナーにパンを取り入れる人が増えていることなど、パンには安定したニーズがあります。キッチンカーの普及、メロンパンやあんぱんの専門店が注目されるなど、新たな業態も増えています。
市場規模は拡大傾向
近年、パン屋の市場規模は拡大傾向にあります。矢野経済研究所の調査によると、2021年の国内パン市場規模は約1兆5,345億円、それ以降も微増と予測されています。2020年にはコロナ禍の影響で規模縮小があったものの、それまでも微増の傾向だったこと、飲食業のなかではコロナ禍によるダメージが小さかったことから、比較的安定した業態といえるでしょう。
オーガニックやSNS映えなどのニーズの増加・多様化
従来の食パンや惣菜パンに加え、オーガニック素材を使用したパンやSNS映えするような見た目のパンなど、消費者のニーズは多様化しています。また、健康志向の高まりから、低糖質パンやグルテンフリーパンなどの需要も増えています。
パン屋の市場規模拡大は、食パンや惣菜パンなどの定番商品に加え、健康志向やSNS映えを意識した商品など、多様なニーズに対応するパンが登場していることが要因と考えられます。パンをテイクアウトするだけでなく、店内で飲食できるカフェ兼ベーカリーの店舗も人気です。
今後もオーガニックやキッチンカーなど、ベーカリーの形態は多様化していくでしょう。開業エリアのニーズを捉え、どんな層に向けたベーカリーにしたいのかを考えながら、戦略的に運営していくことが重要です。
キッチンカーやメロンパン専門店など、業態も多様化
近年、キッチンカーやメロンパン専門店など、パン屋の業態も多様化しています。
キッチンカーには場所を選ばずに営業できるというメリットがあります。イベント会場や観光地に出店したり、住宅街を巡回したりすることで、幅広い顧客にアプローチできます。
メロンパン専門店は、メロンパンを専門に販売する業態です。さまざまな種類のメロンパンを提供することで顧客を飽きさせないこと、SNS映えする商品で口コミを広めることが重要です。店頭での実演販売で人目を引き、集客するのもいいでしょう。
このように、キッチンカーやメロンパン専門店のような業態には、多様な集客戦略が取れるというメリットもあります。
フランチャイズでパン屋を開業するメリット
フランチャイズでパン屋を開業するには、個人で開業するよりも多くのメリットがあります。フランチャイズでパン屋を開業する3つのメリットについて詳しく解説します。
メリット1.本部のブランド力や集客施策を活用できる
フランチャイズでは、本部のブランド力や集客施策を活用できるという大きなメリットがあります。
知名度の高いブランドであれば、顧客の信頼を得やすいというメリットがあります。また、本部が広告宣伝や販促活動をサポートしてくれるため、顧客獲得に多くの時間と労力を費やす必要はありません。
さらに、フランチャイズ本部は、顧客データやノウハウを蓄積しています。これらのデータを活用することで、効果的な集客施策を実行できます。
メリット2.仕入れや仕込みが楽
フランチャイズでは、仕入れや仕込みが楽になるというメリットがあります。本部から原材料やパン生地を供給してもらえるため、仕入先の開拓や品質管理の手間を省けます。レシピやマニュアルが提供されるだけでなく、店舗で焼くだけの冷凍生地を提供するチェーンもあり、パン作りに自信がない人でもおいしい焼きたてパンを提供できます。
仕込みに特別なスキルが必要なく手間もかからないため、アルバイトだけでもお店を回せるでしょう。店舗はスタッフに任せ、オーナーは経営に専念できます。
メリット3.働き方や予算に合う業態を選べる
フランチャイズでは、さまざまな業態のパン屋が展開されています。そのため、自分の働き方や予算に合った業態を選べます。
たとえば小規模な店舗でゆっくり働きたい人、自ら店頭に立ちたい人には、個人経営に近い形態のフランチャイズがおすすめです。短時間で効率的に運営したい人、多店舗展開を目指したい人には、セントラルキッチン方式のフランチャイズがおすすめです。
店舗を構える必要がなく、好きな場所に移動して販売できるキッチンカーは、低コストで開業したい人やまずは副業からスタートしたい人に適しています。
フランチャイズでパン屋を開業するデメリット
フランチャイズには個人で開業するよりも多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。フランチャイズでパン屋を開業する3つのデメリットについて詳しく解説します。
デメリット1.加盟金やロイヤリティの支払いが必要
フランチャイズでは、加盟金やロイヤリティを支払う必要があります。
加盟金は、契約時に支払う初期費用です。ロイヤリティは、本部に支払う月々のブランド使用料です。これらの費用は、パン屋の経営を圧迫する可能性があります。
加盟金やロイヤリティの金額は、フランチャイズ本部によって異なります。契約前にしっかりと確認しておくことが重要です。
デメリット2.個人店に比べて自由度が低い
フランチャイズでは、本部の指示に従って運営する必要があります。そのため、個人店のように自由にメニューや価格を決めることはできません。また、店舗の改装や営業時間の変更についても、本部の許可が必要となります。
自由度が低いということは、自分のアイデアを活かしにくいということです。自分の思い通りのパン屋を作りたいという方には、フランチャイズは向いていないかもしれません。
デメリット3.材料費が変動しやすい
フランチャイズでは、本部の指定する原材料を使用する必要があります。そのため、原材料の価格が変動すると、パンの販売価格にも影響が出てきます。パンの原材料である小麦の価格は、天候や国際情勢などの影響を受けやすく、頻繁に変動します。
フランチャイズの場合、価格設定も本部の指示に従わなければならず、商品の販売価格を自由に変えることはできません。原材料費の高騰により仕入コストが増えても、販売価格を上げることができず、利益率が低くなるリスクがあります。
パン屋の開業に必要な資金
パン屋の開業には、初期費用と運転資金、そして開業後しばらくの生活資金が必要です。それぞれ必要な資金額と内訳について解説します。
開業資金
開業資金は、店舗の取得や設備投資、商品開発などに必要な費用です。パン屋の規模や立地によって異なりますが、一般的には1,000万円から2,000万円程度必要といわれています。開業資金の内訳としては、次のようなものがあります。
- 店舗取得費:店舗の購入費用や賃貸費用、敷金・礼金など
- 設備投資費:厨房設備や什器、レジなどの購入費用
- 運転資金:開業後の家賃や人件費、食材費などの運転資金
- その他:許認可申請費用、広告宣伝費、保険料など
運転資金と生活資金
運転資金は、パン屋を開業した後、売上が入るまでの期間に必要な家賃や人件費、食材費などの費用です。
開業前に用意すべき運転資金の目安は固定費の3~6ヵ月分といわれています。たとえば固定費が300万円であれば、900万円から1,600万円程度の運転資金が必要となります。
生活資金は、パン屋が開業した後、収入が安定するまでの期間に必要な生活費です。生活資金の目安は生活水準や家族構成によって異なりますが、最低でも6ヵ月分は用意しておくことをおすすめします。
パン屋の開業に必要な資格
パン屋を開業するには、食品衛生責任者、飲食店営業許可、菓子製造業許可、食料品等販売業の許可などの資格や許可が必要です。
食品衛生責任者
食品衛生責任者は、食品営業を行う際に、食品の衛生管理責任者として必要な知識・技能を証明する資格です。パン屋は食品営業に該当するため、店舗に1人以上配置する必要があります。
飲食店営業許可
飲食店営業許可は、飲食店を開業する際に必要となる許可です。店舗の構造設備や衛生管理などが基準を満たしているかどうかが審査されます。パン屋では、店内にイートインスペースを設ける場合やサンドイッチを販売する場合などで、飲食店営業許可が必要です。
菓子製造業許可
菓子製造業許可は、菓子を製造販売する際に必要となる許可です。菓子製造設備や衛生管理などが基準を満たしているかどうかが審査されます。菓子パンは菓子に分類されるため、菓子製造業許可が必要です。
食料品等販売業の許可
食料品等販売業許可は、自社以外の業者が製造した食料品を販売する際に必要となる許可です。パン屋では、他業者製造のジャムや飲料の販売を行うこともあるでしょう。この場合、食料品等販売業許可が必要です。
防火管理者(店舗規模による)
防火管理者は、一定規模以上の店舗を開業する際に必要となる資格です。火災発生時の避難誘導や消火活動など、防火管理に関する責任を負います。
収容人数30名を超える場合に必要な資格です。パン屋で必要になることはあまりありませんが、このような資格があることは頭に入れておきましょう。
パン屋開業を成功させるための、フランチャイズの選び方
パン屋を開業するには、個人で開業する方法とフランチャイズで開業する方法があります。フランチャイズは、ノウハウやブランド力などを本部から借りることができ、個人で開業するよりも成功しやすいといわれています。
しかし、すべてのフランチャイズが成功するわけではありません。パン屋開業を成功させるためには、慎重にフランチャイズを選ぶことが重要です。
成功するためのフランチャイズの選び方を、6つのポイントに分けて紹介します。
予算や希望の働き方を明確にする
まず、パン屋開業の予算と希望する働き方を明確にしましょう。フランチャイズによって、加盟金やロイヤリティ、必要な自己資金などが異なります。本部からのサポート内容や経営の自由度なども異なります。
必要な資金は、加盟金やロイヤリティ、店舗取得費、設備投資費、運転資金などです。働き方には「土日祝日のみの副業からスタートしたい」「営業時間を決めずに、プライベートのスケジュール優先で運営したい」などが考えられます。自由度を重視するなら、営業時間や日数の縛りがない本部が、業態ではキッチンカーがおすすめです。
出店エリアの地域特性を調べる
出店エリアの地域特性を調べることも重要です。人口動態や競合店舗、客層などを把握することで、成功しやすい店舗を計画できます。
人口動態は、年齢層や世帯構成などを調べます。競合店舗は、周辺にあるパン屋の種類や価格帯などを調べます。ターゲットとなる顧客を想定し、ターゲットに当てはまる客層がどのくらいいるのか考えることも重要です。
加盟候補を洗い出す
予算、希望する働き方、出店エリアなどを考慮して、加盟候補を洗い出しましょう。フランチャイズ比較サイトや各チェーンの加盟店募集ページなどで情報を収集できます。インターネットを活用し、フランチャイズ本部のホームページや口コミサイトなどをチェックしましょう。
加盟候補を洗い出したら、資料請求や面談などを通して、詳細情報を収集します。本部の経営理念やサポート体制、加盟店の評判などを確認することが重要です。
本部の理念やビジョンを確認する
フランチャイズを選ぶ際には、本部の理念やビジョンを確認することが重要です。理念やビジョンが一致していないと、経営していくうえで困難が生じる可能性があります。
本部の理念は、どのような事業を展開したいのか、どのような社会貢献をしたいのかといった考えです。ビジョンは、そのブランドの方向性や将来的な目標などを確認しましょう。
本部の理念やビジョンは、ホームページやパンフレットなどで確認できます。説明会や相談会に参加し、担当者や創業者と話すことで、本部についてより深く理解できます。
実際にお店を利用してみる
フランチャイズに加盟する前に、そのチェーンの店舗を実際に利用してみることも重要です。商品やサービスの品質、スタッフの接客態度、店舗の雰囲気などを確認できます。
実際に利用することで、自分がそのフランチャイズで開業した場合、どのような店舗・働き方になるのかをイメージしやすくなります。
説明会や相談会に参加する
説明会や相談会に参加することで、本部や加盟に関する情報を詳しく知ることができます。疑問点を直接質問することもできます。
説明会や相談会では、加盟のメリットやデメリット、開業までのスケジュール、必要な資金、サポート体制などが説明されます。説明を聞いてわからないことや不安なことができたら、遠慮せずにその場で質問しましょう。納得できない点がある場合は、加盟を検討し直すことも大切です。
パン屋のおすすめフランチャイズ5選
未経験からの独立・開業にもおすすめのパン屋のフランチャイズを5つ紹介します。
ヴィ・ド・フランス
- 独自のノウハウにより安定した運営が可能
- 開業後のサポート体制が整っている
- 未経験者でも安心なベイクオフ方式
ヴィ・ド・フランスチェーンは、 焼きたてのパンや揚げたてのドーナツ、作りたてのサンドイッチ、サラダ、香り高いコーヒーやフレッシュジュースを清潔な店舗で提供し、常に最高の品質・最高のサービス・磨き上げられた店舗を目指します。
経営ノウハウ、運営バックアップ、メニュー開発、教育システム等、 独自のノウハウにより合理的に安定した運営が可能です。また、本部指定の工場で冷凍のパン生地の製造をし、その生地を各店舗で焼くというベイクオフ方式を採用しているため、初めてパン業界に携わる人でも安心です。
開業資金 | ロイヤリティ | システムサービスフィー | 契約期間 | 加盟店舗数 |
加盟金:200万円 内装費:1,900万円 厨房機器:1,000万円 設備費:1,400万円 家具什器:800万円 一時費用:700万円 | 売上の2.5% | 売上の1% | 5年間 | 200店舗以上 |
SUMOMO BAKERY
- 未経験者でも始められるパン屋
- スクラッチ製法でその日一番おいしいパンの提供が可能
- 昭和38年創業のパン屋の確かなノウハウ
SUMOMO BAKERY は、焼きたてのおいしいパンをお求めやすい価格で、毎日通っても飽きないワクワクする品数の多さが自慢のパン屋です。
パン業界での経験がない方でも、3ヶ月の現場実習を行うことで、誰でもパン職人になることが可能です。昭和38年創業のSUMOMO BAKERYが培ってきた、パン屋のノウハウを現場で学びながら、パン職人としての必要な知識・技術を身につけられます。冷凍生地を使わないスクラッチ製法なのでその日一番の美味しいパンの提供が可能です。
開業資金 | ロイヤリティ | 契約期間 | 加盟店舗数 |
要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 44店舗(2023.4月時点) |
あげ焼きパン 象の耳
- 月々のロイヤリティ・研修費用・保証金が0円
- フランチャイズではなく特約店システムであるため自由度が高い
- 仕込みの必要なしのシンプルなオペレーション
象の耳のパンは、アメリカの「エレファントイヤー」という商品をモデルに、18年で1,354回の改良を重ねて完成したオリジナル製法のあげ焼きパンです。
象の耳の特約店システムは、経営のノウハウを教えてもらうことができ、店舗名や内外装デザイン、価格設定までも自由であるため、本部に縛られずに自由に経営したい方、今の店舗の売り上げアップのために象の耳を取り扱いたいという方におすすめです。面倒な揚げる作業は工場で対応するためシンプルなオペレーションであることも特徴です。
開業資金 | ロイヤリティ | 契約期間 | 加盟店舗数 |
加盟金:90万円 保証金:0円 研修費:0円 契約更新料:0円 解約違約金:0円 | 0円 | 要問い合わせ | 54店舗 |
あん食パンの店PANTES
- 未経験&最短3ヵ月で開業できる
- ロイヤリティ0円
- 資金調達サポートで開業資金の不安解消
あん食パンの店「PANTES」は、あんの魅力を最大限に引き出し、創意工夫に富んだ商品が注目を集めています。
PANTESのFCに加盟するメリットとしては、サポート制度が充実しているため業界未経験でも開業できる点、ロイヤリティが0円である点、開業時には資金調達サポートが受けられる点があります。さらに、製造販売店1店舗に対して、販売のみ行うサテライト店を2店舗まで出店することができるため、収益力の強化につながります。
開業資金 | ロイヤリティ | 契約期間 | 加盟店舗数 |
要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
食ぱん道
- 有名食パン店の開発に携わったノウハウ
- 合計資金1000万円(自己資金300万円)で始められる
- 食パン専門店起業を講習&映像でマニュアル化
焼きたて食パン専門店「食ぱん道」は、全国にフランチャイズ展開中です。
合計資金1,000万円(自己資金300万円)で始められる高級食パンビジネスです。脱サラの方、早期退職の方も多く活躍しており、撤退率が低く利益率も高いため長く続けられることが特徴です。食ぱん道は、ブームの先駆けである有名食パン店の開発に携わったノウハウがあり、未経験でもこだわりの味を提供できる仕組みがあります。また、専門店であるため少ない人材と短期集中研修が可能な上、小資本で出店できます。
開業資金 | ロイヤリティ | 契約期間 | 加盟店舗数 |
1000万円程度(自己資金が300万円以上あれば融資サポート、リースサポートあり) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 11店舗 |
パン屋のフランチャイズは市場動向や地域特性を意識して選ぼう
パン屋は安定した需要があり、比較的開業しやすい業種として人気があります。しかし、近年は競争が激化しており、成功するためには慎重な検討が必要です。
フランチャイズに加盟すれば、ノウハウやブランド力などを本部から借りることができるため、個人で開業するよりも成功しやすいといわれています。しかし、すべてのフランチャイズが成功するわけではありません。
パン屋のフランチャイズを選ぶ際には、加盟金やロイヤリティ、提供されるノウハウやパンの種類はもちろん、本部の理念やビジョンなどのさまざまなポイントを確認することが大切です。慎重に検討することで、成功に近づけます。
本記事で紹介したフランチャイズのなかに気になるところがあったら、まずは公式HPをチェックしてみてください。加盟費やロイヤリティ、詳しいサポート内容など、わからないことがあったら問い合わせをしてみましょう。なるべくたくさんのチェーンの情報を集め、自分に合ったところを選ぶことが大切です。